スマホのロック解除に採用されたことで一気に一般的になってきた生体認証。
指紋認証と顔認証がスマホでも使われていることで有名ですが、実はさらに導入件数の多い生体認証があります。
それが「静脈認証」です。
今ひとつ一般的な知名度はないものの、「ATMで使われている生体認証」と言えば、「そういえば見たことある。あれって指紋認証じゃなかったんだ・・」という方も多いのでは。
指静脈認証の場合は、読み取り装置は指1本分のサイズなので、指紋認証装置に見えるかもしれません。
ほとんどの金融機関のATMで採用されていることを見ても、静脈認証が非常に信頼されているのですが、どういう点で他の生体認証方式よりも優れているのでしょうか。
静脈認証とは・・
静脈認証とは、指や掌(手の甲)などに赤外線を当て、体内にある静脈(血管)の形状パターンを撮影し、その情報を元に個人を識別する認証方式です。
指紋認証や顔認証などと異なり、「表から見える身体的特徴を使わない」ので「なりすまし」ができない、という点が最大の特徴になります。
また非接触型の認証という点も指紋認証との大きな違いです。
指紋認証の場合は「接触型」であるため、衛生面での抵抗感が大きいことや、接触面に指紋を残してしまい、それで偽造されてしまうリスクがあります。
しかし静脈認証の場合は、同じ指を使っていても「非接触型」なので、衛生面では問題なく、偽造の「型」を取られるリスクもありません。
さらに認証精度も他の生体認証方式と比較しても高く、指を怪我していたり、手が荒れていたりしても皮膚表面の情報を使わないので影響なく認証できる、という点でも優れているのです。
(参考)静脈認証の精度
・他人受入れ率(FAR)/0.0001%
・本人拒否率(FRR)/0.01%
データは市指静脈認証装置メーカー:日立産業制御ソリューソンズ発表の指静脈認証精度測定値。
1:1認証でのバイオメトリクスの精度評価に関する国際規格ISO/IEC 19795-1に基づいた測定方法で算出。
いかがですか? 他人受入率は1/100万以下、本人拒否率は1/1万以下、とかなりの高精度。顔認証では問題となる一卵性双生児の誤認識(他人受入)についても、静脈パターンは双子でも異なるので問題なく識別できるのです。
では逆に他の生体認証方式よりも劣っている点はあるのでしょうか・・・?
実は「認証方式としてのマイナス点はない」のです。強いて言えば、読み取り装置がスマホに内蔵されるほど小型化できていないとか、読み取り装置やシステムのコストがまだ高い、といった弱点はありますが、これは認証方式としてのマイナス点ではありません。
それゆえに、ある程度の大きさがあって、コストをかけてでもセキュリティに最善を求めるところでは静脈認証を採用しているのです。
今後の小型化や低コスト化によって、今後の導入の幅が広がる可能性があります。注目しておきましょう。
P.S.
静脈認証の弱点、ひとつありました。
指紋認証と同じように「寝ている人の指を使って認証を突破できてしまう」という弱点があります。
もっともスマホのロックとかなら、問題にもなりえますが、寝ている人をATMまで担いでいき、指を使って認証させることはほぼ不可能なので、導入用途さえ間違えなければ、弱点とは言えませんね・・・(^_^;)