今週も先週に引き続いて静脈認証ネタをお送りします。

2017年11月27日 イオン銀行が、神田店やイオンモール津田沼店など5店舗での指認証システムの先行導入を発表しました。
金融機関のATMでは、すでにICチップ搭載のキャッシュカード(以降ICカード)での指静脈認証がかなり普及しているので、「ICカードと生体認証」というセット自体は特に目新しくもないのですが、イオン銀行の発表が衝撃的だったのは、「ICカードを持たずに生体認証だけでATMを使えるようになる」ということです。

イオン銀行「指認証システム」先行導入キャンペーンパンフレットより抜粋

ATMでの一般的な生体認証は、あらかじめICカード内のチップにカード所有者の静脈パターン情報を登録しておき、ATM利用時に、ICチップ搭載キャッシュカードと、ATM機器に取り付けられている指静脈リーダーで読み取った静脈パターンとの照合を行い、本人であることを特定し、キャッシュカードの不正使用を防止する、という仕組みでした。
このケースでは、ICカードという「所有物認証」や暗証番号という「知識認証」と、それらをさらに強化するために「生体認証」が使われていたので、ATM操作には「ICカード+暗証番号+指」の全てが必要だったのです。

しかしイオン銀行が発表したのは、指紋認証と指静脈認証という二種類の生体認証データをあらかじめ店舗でデータベースに登録しておけば、ICカードも暗証番号も不要、指だけで本人認証を行いATMでの入出金や振込などができるようになる、という画期的なシステムです。
照合する静脈データをキャッシュカードのICチップに埋め込むのではなく、銀行の認証システムデータベースに登録し、それにネットワークを通して照合する、という点が従来の静脈認証対応ATMで使っている静脈認証システムとの大きな違い。
ATMに設置した指認証装置で「指紋+静脈」という二種類の生体認証を同時に行うことで認証をパスさせて、ICカードと暗証番号を完全に不要としてしまったのです。

この指認証システム、ATMでの操作以外にも、店舗でのICカードの再発行や住所変更など、通常は本人確認書類や印鑑が必要になる手続きについても、指だけでできるようになる、ということです。


<体験レポート>
実は私もすごく興味があり、たまたま先行導入店が近場にあったので、口座開設の手続きをしてきました。待つこと2週間弱、ICカードが送られてきたので、まずはインターネットバンキングの登録と初回ログイン作業をします。(ICカードに同梱されている「イオン銀行ダイレクト ご利用カード」に記載されている情報を見ながら行います。)
これで準備完了。次に店舗での指認証データの登録です。

指認証登録はこれで

登録は先行導入店の窓口にICカードと写真入りの身分証明書類(免許証など)を持っていきます。
窓口カウンターでの指認証登録は、ATMに設置してあるのと同じリーダーを使い、3本の指を各3回づつ登録していきます。
リーダーは指1本を置けるようになっていて、先端部分(第一関節より先)は指紋を読むので、画面に指をちゃんと付けます。第一関節と第二関節の間は指静脈を読むので、少し浮かしたままでOK。登録する3本の指は特に指定はないということですが、ATMだと画面の右側に指認証の装置が付いているので、右手の人差し指・中指・薬指の3本を使うのが一般的とのこと。オススメの通りに指3本、合計9回の登録を行い、無事に完了です。

ATM画面右側には同じ指認証装置が

無事登録手続きも終わったので、そばにあるATMでさっそく初体験を!
ATMの「取引スタート」を押して、取引したい内容(とりあえず残高照会)を選択すると、ICカードか指認証かの選択画面になります。ここで指認証を選び、画面の指示に従って登録した3本の指のうちの2本で認証をします。指を装置の上に置き、緑のLEDランプが2個つけば指紋と静脈の両方の照合ができた、ということでOKです。指1本につき1回なので、合計2回、認証をクリアすればOK。自分の口座情報が表示されATM取引ができるようになりました。

おお \(^o^)/


ホントにICカードなしでできた。
なんか不思議な気分です・・・。

現在は5店舗での先行導入中ということですが、2018年上期には全店導入を目指しているとのこと。早くイオンのショッピングモールなどにあるイオン銀行の全ATMでICカードレスの指認証ができると便利になりますね。

せっかく「指だけでATMが使える」魔法(?)ができるようになったことだし・・・(^_^;)