フィッシングメールは、本物サイトそっくりに偽装した詐欺サイトにユーザーを誘導して、個人情報を盗んだりします。
その誘導に使うリンクに、識別のしづらい文字を意図的に使って置き換えたURLアドレスを作り、詐欺サイトへ誘導する手口があります。このURLアドレス偽装のことを「ホモグラフ攻撃」といいます。
わかりやすく説明すると、アルファベットの大文字のO(オー)と数字の0(ゼロ)、小文字のl(エル)と大文字のI(アイ)などがよく似た文字で、これらを入れ替えるのが一番ポピュラーな偽装です。
例えば
正しいURL | 偽装したURL | 解説 |
---|---|---|
www.google.com | www.googIe.com | ←小文字のl(エル)が大文字のI(アイ)になっている 偽装URLのリンク先 www.googie.com |
WWW.GOOGLE.COM | WWW.G00GLE.COM | ←大文字の0(オー)が数字の0(ゼロ)になっている 偽装URLのリンク先 www.g00gle.com |
というように偽のURL(この場合は、www.googie.comやwww.g00gle.com)を作り、誘導するのです。
ドメイン名へのアクセスは「ケースインセンシティブ」といって、アルファベットを大文字で表示したとしても、小文字として扱うことになっているので、こういう、見た目をごまかした偽装が成立してしまうのです。その上問題なのは、こういうgoogie.comとかg00gle.comのような偽装用ドメインでSSL証明書の認証局を取得していることもあるので「ブラウザに鍵マークがついているから大丈夫でしょう!」と信じてしまう人も出てくることです。
それだけではありません。昔は、ドメイン名やホスト名(サイトのURL)には、ASCIIコード内のアルファベットと数字やハイフン(-)、ドット(.)だけしか使えなかったので、紛らわしい見た目のURL偽装はある程度に限られていたのですが、2003年から国際化ドメイン名(IDNドメイン)の使用ができるようになり、Unicodeのほか、非ASCII文字を「Punycode(※)」によりエンコードして利用できるようになったために、紛らわしい似た文字が大幅に増えてしまったのです。
※Punycode:
国際化ドメイン名の例(日本語) “せぐなべ.jp”
<IDNホモグラフの例>
http://paypαl.com →一見すると PayPalサービスのサイトのように見えますが、「a」の代わりにギリシャ文字の「α」(アルファ)が使われています。
これをPunycodeでASCII文字に変換すると、偽装URLの本当のリンク先は以下の通りになります。
http://xn--paypl-g9d.com
http://www.paypal.com とは全然違いますね。
国際化ドメインで使える文字にはキリル文字、ギリシャ文字など、アルファベットに酷似した文字を持つものもあり、置き換えて使うバリエーションが大幅に増えました。
なお、このIDNホモグラフ攻撃に対して、主要なWEBブラウザは、複数の文字コードが入っている場合には「http://paypαl.com」と表示しないで、「http://xn--paypl-g9d.com」と表示することで偽装対策をしています。しかし、全て同じ文字コードで偽装した場合にはその対策が効かない、ということもあるので、最終的にはユーザー自身が注意を払うしかないのです。
メールに埋め込まれたURLが、自分が使っているショッピングサイトやオンラインバンキング、SNS関連のページなどの場合は、そのURLをクリックするのではなく、自分が登録したそのサービスのブックマークなどからアクセスするようにすれば、偽装アドレスに騙されることはないでしょう。
初めてアクセスするサイトなどの場合は、以前パスクリ通信でご紹介したVirus Totalサイトなどでリンク先を調べるようにしましょう。
パスクリ通信2018年3月23日号 怪しいと思ったら「VirusTotal」でマルウェア検出!
メールやサイトに埋め込まれたリンクアドレスには、くれぐれもご注意を!
文字を左右反転してくれたり、天地反転してくれるサービスです。
サイトはこちら:txtn.us
このサイトで変換したい文字を入れると、こういう反転ができます。(例)せぐなべ(segunabe)を反転してみると・・・
segunabe → ƨɘǫunɒdɘ (文字並びはそのままで各文字の左右だけ反転)
segunabe → ɘdɒnuǫɘƨ (文字列の並びごと左右反転)
segunabe → ƨөɓ∩uɐpө (文字列の天地を反転)
なんかヘンだぞ〜〜! (゚Д゚)
これは実際に文字を反転させているのではなく、アルファベットの左右や天地を反転させた状態に近いUnicode(ユニコード)文字に置き換えているのですが・・・これも一種の文字偽装かも・・・。
さらに文字列を180度回転してくれるサービスRot180 encorderというのもありました。(これも実際に回転しているのではなく、回転状態に近いユニコード文字に置き換えているだけです)
segunabe → ǝqɐunɓǝs (文字列を180度回転)
・・・・・「だからどうした!」っていう意味のないネタなんですが。
m(_ _)m 失礼しました。