皆さん、ゲーム楽しんでますか?
誰かがゲームをプレイする様子を配信する「ゲーム実況」ってみなさん見たことありますか? メジャーなゲームから、「あんまり知らないなあ……」ってゲームまで、色んな人が色んなゲームを実況してるんですよ。
これ、あなたもやってみたいと思いますか? 今では結構簡単にできるので、「正体バレ」を気にしないんだったら挑戦してもいいかもしれません。
今回はゲーム実況のやり方と、実際のYouTuberさんへのインタビューを通して、気をつけないといけないところなどを解説していきますよ。
>オンラインゲームセキュリティガイド「正体バレても大丈夫?ネットの向こうにご用心」記事一覧
ゲーム実況をどこでやる? 動画配信プラットホームの紹介
昔はテレビぐらいでしか動画の配信はできなかったのですが、インターネットの発達により誰でも動画配信ができるようになり、ゲーム配信だけでなく、いろんな動画が配信されています。
動画配信に使われているメジャーなサービスを紹介します。
YouTube
もはやご存知ない方はいないと思います。Googleが運営する世界最大の動画配信プラットホームです。あらかじめ録画したものを配信するだけでなく、ゲームなどの生配信もできるようになっています。
YouTubeで配信するにはGoogleアカウントが必要です。Gmailをご利用の方はそのメールアドレスとパスワードを使えばOKです。取得の仕方は第3回でご紹介しているので、そちらをご覧ください。
ニコニコ生放送
ドワンゴが運営する、日本最大の動画配信サービスが「niconico」です。コメントが横に流れていくのでおなじみですね。
niconicoでは、あらかじめ録画したものを配信する「ニコニコ動画」と、生配信を行う「ニコニコ生放送」が明確にサービスとして区別されています。ただし、サービスアカウントはniconicoのものを共通で利用できます。
ニコニコ生放送で配信するには、原則サービスアカウントを取得し、プレミアム会員(有料)になる必要があります。手順については公式ページをご覧ください。
ちなみに最新バージョン「クレッシェンド(く)」からは、サービスアカウントなしで視聴することもできるようになりました。敷居が下がりましたね。
Twitch
米Twitch Interactive, Inc.の運営する、世界最大のゲーム専門生配信プラットホームです。
日本ではまだあまり馴染みがないと思いますが、世界ではとっても有名で、ゲームの生配信ならココ! という鉄板サイトだったりします。
サービスアカウントは無料で作ることができます。トップ画面の右上のSign inから手続きが可能ですよ。画面が英語になってる場合はLanguageから「日本語」を選んでおくとわかりやすくなります。
PS4だと簡単! ゲーム実況の始め方
PlayStation 4だと、ゲーム実況は簡単に始められます。ゲームをしている最中にコントローラーの「SHARE」というボタンを押してみてください。「ゲームプレイをブロードキャストする」という項目があるので、そこを選択するだけです。
YouTubeやニコニコ生放送、Twitchなどのゲーム実況プラットホームを選んで実況を開始することができますよ。
マイクはPS4を購入した時に付属していたものを、カメラはPlayStation VRなどでも使うPlayStation Cameraを使うことができます。マイクは必要に応じてもっと良いものを購入するのも良いでしょう。
ちなみに、PS4で配信するときも別途動画配信プラットホームのアカウントが必要ですので、上記の各プラットフォームの紹介から行けるページを参照して先に取得しておきましょう。また、SENアカウントとの連携をする必要がありますが、これはPS4の画面で簡単に可能です。初回配信時に行ってくださいね。
下の画像はSENアカウントとYouTube用のGoogleアカウントを連携する様子です。
Nintendo Switchなどでの配信は?
Nintendo Switchやそれより古いゲーム機でゲーム実況をしようとする場合、本体だけではできません。パソコンと、Nintendo Switchからモニターへの映像信号をパソコン側に取り込むキャプチャ機器を用意して、パソコン経由で配信することになります。
詳しくは配信機材によっても異なりますので、「Switch 配信」などでGoogle検索したり、映像配信についての本やキャプチャ機器の取扱説明書を読んだり、知ってる人に聞いてみるなどしてみてください。
ちょっと技術的な知識が必要になるのと、お金がかかるので、まずはPS4のように簡単にできる環境で慣れてからの方が良いかもしれませんね。
PCゲームの配信は?
PCゲームの配信は意外と簡単です。キャプチャ機器が不要で、配信用のソフトを使えばよいのです。
「OBS Studio」のような配信用ソフトには、ゲーム画面キャプチャ機能が付いています。これを利用すれば簡単に配信が可能です。
それすらも面倒臭いという人には、Windows 10であれば「mixer」というMicrosoftが運営するサイトで手軽にゲーム実況を始められる機能も付いています。
ただし、mixerは今のところ日本人の配信は少ないですね。YouTubeなどで配信したいなら、配信用ソフトを使いましょう。
現役YouTuberに直撃!
さて、ゲーム実況で気をつけるべきことを、現役YouTuber「ペンギン軍総帥、山田ペンギン太朗」さんにインタビューしました。
山田さんは、基本的に毎日18時更新、生配信をする場合は19〜21時スタートのことが多いようです。
先日には、48時間のチャリティ生放送を実施していました。
では早速直撃しましょう!
赤文字:筆者(朽木)
青文字:山田さん(敬称略)
映像機材を使ってみたくて配信開始
——YouTuberになろうと思ったきっかけは?
山田「もともと映像機材に興味があったんです。スイッチングとか楽しそうだなと。実は配信する題材はゲームじゃなくてもよかったんですが、経済的に許される範囲としてゲーム実況を始めたって感じです」
なるほどなるほど。ちなみに今でも許されるならハイスピードカメラとか使ってみたいらしいですよ。
——配信歴はどのくらいですか?
山田「2011年の11月からですから、7年くらいになりますね。きっかけとしては、東日本大震災。こりゃ大変だと思って、日本赤十字に預金を全部寄付しちゃったんです。そしたらクレジットカードの請求とかが後からきて、あ、これはヤバいぞ……って(笑)。で、YouTubeチャンネルを開設して収益化したんですけど、月3,000円くらいをポケットに入れるのもなあと思って、全額寄付するようにしています」
他にも、ゲーマーは世間からあまりいい目を見られてないから、ゲーマーの社会貢献ってどんな形があるだろう、というのもテーマだとお話しされてました。
——ゲームはどんなものを選んでますか?
山田「王道だと、大手YouTuberさんには勝てないので、ニッチなところを選んでいます。ライトな層には向けてないです。ハードコアゲーマー向けですね。マルチプレイとかをやって行きたいと思っています」
——配信内容の工夫などされてるところはありますか?
山田「映像機材に興味があったので、最初はクロマキーとか使ってました。ただ、一般的になっちゃったんで、いまはあんまりやってないです。英語が得意なので、英語を入れたりしてますね。英語の勉強チャンネルとして使っていただいてもいいかもしれません(笑)」
YouTuberのセキュリティ意識を調査!
さて、いよいよセキュリティのことについても迫っていきましょう。
——配信をしていて、リスクを感じたことはありますか?
山田「アカウントのハッキングっぽいことはされますね。中国からログインされそうになります。急にSteam Guardが「ログインしようとしましたか?」って出てくるとか(笑)」
どうしても配信だとSteamのIDは出てしまいますから、攻撃を受けるのはしょうがない面はありそうですね。しかし、Steam Guardで防げてるので問題なさそうです。二段階認証が用意されていたら、利用は必須ですね。
山田「それから、オフラインイベントを年3回くらいやってるんですけど、視聴者同士の交流で、女性にセクハラする人がいるんですよね。それとなく注意はするんですが、それでもやめないので、だいたい参加をお断りすることになります。あとは、解散した後、妙にあとをつけてくる人がいるんですよ。そういう時はタクシーに乗って逃げます」
——発言内容としてどんなことに気をつけてますか?
山田「まず本名を言わない。住所バレしそうなことはしない。特にTwitterやInstagramで住所のバレそうなところで写真は撮らないようにしています。あと、細かいことではゲーム実況中に花火が上がっても「あ、あれはどこどこの花火ですね〜」とか言わないようにしてるとか(笑)。花火は絶対無視です。誕生日も言わないほうがいいですね」
うわ、さすがエキスパートです。要点はしっかりと押さえてます。
その他にもスマホゲームの実況をするときはおやすみモードにするとか、ユーザー名を本名に近い名前にしないなど、実践されているようですよ。
——炎上ってしたことありますか? あれば体験談などお聞きしたいのですが……。
山田「あります。ガンダムのスマホゲームの実況をしたときなんですけど、私ガンダムって一切知らないんですよ。で、セイラさんがナビキャラで出ていたんですけど、「何この口調が上から目線の女」とか言ってたら炎上しちゃって。それ以来、人気IPの人気キャラはdisらないようにしています。その動画は削除する直前まで悩みましたね。結局残してありますけど」
あー、ファーストガンダムはこだわりの強い人が多いですから、無理もないかもしれませんねえ。
——ズバリ、ハッキングに成功されちゃったことはありますか? なければ、防止するための工夫を教えてください!
山田「私はハッキングに成功されちゃったことはないですね。他の人だとLINEを乗っ取られてたりしてるのは見ますけど。iTunesカード送ってくれとか言われるやつですね」
あー、ニュースにもなったやつですね。しかし、ご自身がハッキングされてないのはさすがです。
山田「パスワードをランダムにして防いでいます。使っているパスワード管理ソフトは1Passwordです。スマホはiPhone XなのでFace IDで認証させています。あとは、SteamはSteam Guardです。それから、クレジットカードの情報をアカウントに覚えさせないようにしています。もし乗っ取られても何も買えないようにしておくわけです。どうしてもクレジットカードの情報が必要なときは、Vプリカで200円くらいしか入っていないのを登録しておきます」
Vプリカというのは、クレジットカードと同じように使えるプリペイドカードです。
中にチャージされている金額分しか使えないので、それ以上の被害を受けないというわけですね。
他にもクレジットカード情報を登録しておかないといけない場合のテクニックはありますので、コラムにてご紹介しましょう。
——他に気をつけないといけない点ってありますか?
山田「スマートフォンの機種変更を衝動でしないこと! 二段階認証アプリの機種変更作業って、前の機種が残ってないとできないことが多いんです。バックアップから戻せる奴もあるんですけど、そこでハマってしばらく苦しみました。機種変更のときは計画的にやりましょう!」
あー、これ、筆者も体験済みです。機種変更作業の前に、二段階認証アプリの機種変更作業の洗い出しをしておくことを強くお勧めしますよ。
——以上、山田ペンギン太朗さんでした。ありがとうございました!
山田「ありがとうございました。」
セキュリティに気をつけて楽しいオンラインゲーム生活を!
というわけで全6回にてお届けしたこの連載、いかがだったでしょうか。
結局は第1回の「正体バレ」に対する心構えと、第3回のパスワードの管理方法が一番重要です。
ぜひ、この連載の内容を実践して、楽しいオンラインゲーム生活を送ってくださいね。
それでも困ったことがあれば、ゲームで知り合った信頼できるフレンドに思い切って聞いてみちゃうのも良いでしょう。きっと力になってくれると思いますよ。ただし、「正体バレ」につながるようなことにはご用心あれ。
それではみなさん、良いゲームライフを過ごしましょう!
【コラム】「Kyash」を使って賢くクレジットカード管理
読者の皆さんの中には、まだクレジットカードを持ってないよーという人もいるかもしれませんね。そういう時でもクレジットカード必須のサービスアカウントを登録できるサービスがあります。「Kyash」というアプリです。
このアプリだけでプリペイド式のVisaカード番号を無料で発行できちゃいます。プリペイドのチャージにはコンビニや銀行、他のクレジットカードなどが使えます。これで登録しておけば、プリペイドの金額分だけしか決済できませんから、たとえサービスアカウントが盗まれたとしても、大量の金額を使われちゃう心配がないわけです。便利ですね。
また、必要に応じてカード番号をアプリから無効にすることもできますので「危ないかな?」と思った時にすぐ対処できるのも良い点です。
普段からクレジットカードを使っている人向けにもメリットがあります。
Kyashのアプリを使っている人同士でお金を送り合うことができるのです。飲み会の割り勘って、細かい金額になったりして面倒じゃないですか。そういうときもKyashの残高をポイっと送ることでやりとりすれば一瞬で片付きます。
今後もサービスの進化が予定されてるらしいので、興味のある人はぜひ登録してみてくださいね。
【著者プロフィール】
朽木 海 (γ-Reverse代表)
ゲーム会社や出版社などの「IPが欲しい会社」と、ライトノベル作家や脚本家、漫画家などの「IPを作りたいフリーランス」を繋げるためのプロジェクト「γ-Reverse」の代表。引き続きライター業や編集者業も行っています。
ちなみに、筆者もたまにニコニコ生放送でゲーム配信をしております。ニコニコミュニティ「うみっくチャンネル」、興味があったら登録してみてください。ただ、山田ペンギン太朗さんみたいに他人に見せる向けの配信じゃないので、BGV程度に見ていただければと思います……。
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