今回は生体認証の新しい活用に関する情報です。

東京都八王子市を拠点とする北原病院グループが生体認証システムのリーディングカンパニーであるNECと組んで、同病院の会員制医療・生活サポートサービス「北原トータルライフサポート倶楽部」の会員を対象に、自分が受けたい医療や希望する生活に関する「意思」をデータとして保管し、必要時に提携医療機関に提供することで救急医療等に活用する「デジタルリビングウィル(DLW)」の実証を7月1日より開始しました。

>NEC「北原病院グループとNEC、新技術等実証制度(「規制のサンドボックス制度」)を活用し、生体認証を用いた本人意思に基づく救急医療の実証を開始」

高齢化社会が進み高齢単身者が増加していく中で、救急医療処置が必要な際に、生体認証により、速やかな本人確認を実現する取り組みです。本人の意識がない場合でも生体認証で、本人の医療に対する希望を確認し、尊重されるようにします。救急医療時に本人による意思確認できない場合、家族を探して連絡を取り、同意を得た上で検査や治療を開始することが求められるために、検査や治療に遅れが生じてしまったり、受け入れが拒否されてしまうケースもあり、これを防ぐという目的と、延命治療など、本人が望まないものでも、家族の意思により、本人意思が曲げられた形で、治療が行われるといった事態を防ぐためのものです。

DLWのシステムは、本人の意識がない場合にも備え、NECの生体認証「Bio-IDiom」により、顔認証、静脈認証、指紋認証の3種類の生体認証の組み合わせによる認証が用意されています。本人の意思情報は、本人が自ら更新する仕組みとのこと。
今回の実証では医療行為に対する意思が対象となりますが、死後の臓器提供意思などにも情報範囲を広げていくことも可能です。

従来、生体認証が導入されるケースのほとんどは「本人が何かを行うため」であるのに対して、このDLWでは「本人に意識がない時に活用する認証」という点が、まったく新しい生体認証の使い方だと言えます。

この実証は、これからの高齢化社会の医療にとっては避けて通れない課題を解決する可能性を秘めており、将来的には社会実装にまで進んでいくことも期待されるのではないでしょうか。