先週末、Amazonではブラックフライデーセールがを大々的に行われてました。しかし、本当のブラックフライデーはサンクスギビングデーの翌日の今日、2019年11月29日になります。ということで上のアイキャッチもにちょっとブラック仕様にしてみました・・・。
今回は、認証にも関連する顔識別技術の話題です。

躍進する顔識別、しかし・・・

様々な場所や場面で、顔識別技術を利用したシステムの導入が進んでいます。
個人の認証のための活用もあれば、犯罪者を識別するためであったり、または来場者などの性別や年齢などのマーケティングデータを取得するためであったりと、その利用方法も様々です。

この顔識別技術の発達や導入に伴い、生態情報の漏洩という問題も発生しました。

>パスクリ通信「生体認証情報漏えいのリスク」2019年9月6日号

またプライバシー情報の保護という観点から導入が規制される動きもでてきています。

>パスクリ通信「サンフランシスコで顔認証が禁止!?」2019年6月7日号

このような、ネガティブな反応の根拠はどこにあるのでしょうか。

これはシステムのあり方にもよりますが、撮影された顔画像データが暗号化されないままサーバーに保持されていて、それが不正アクセスなどにより奪われてしまうことへの恐れです。顔のみならず、指紋や虹彩などの生体情報は、パスワードのように容易に変更することができません。一度、その漏洩したら、その情報がどこかで使われる可能性におびえ続けることになってしまいます。ですので、生体情報の扱いには細心の注意が払われなければいけません。

そしてもうひとつは、本人が意図しないところで顔情報を取られ、それを利用した識別が行われる可能性があり、それがプライバシーの侵害や個人の自由の制限につながってしまう恐れがある、ということです。
たとえば公共施設などの監視カメラと連動し、顔情報データベースに照らし合わせて犯罪者チェックを行うことや、「誰が、いつ、どこにいたのか」が本人の意思とは関係なく情報として残ってしまうことの問題です。

また別の例として、顔画像による個人識別が挙げられます。
Googleの画像検索で、顔画像を用いて検索すると、その人の情報が検索結果として出てきて、結果として個人を特定できることがあります。またfacebookなどのSNSでは、顔画像で個人のタグ付けができ、その人のマイページで個人情報を確認できてしまう場合がある、ということです。
これらがストーキングをはじめとして犯罪や悪意の助長につながることが警鐘されてきたのは皆さんもご存知だと思います。

顔認証と非識別化サービスとは?

凸版印刷が、顔識別ができなくなるように加工した状態で顔画像を保管するサービスを発表しました。
具体的には「視認類似性を保持した非識別化技」「最少属性を保持した非識別化技術」「ぼかしによる非識別化技術」という3種類の顔画像加工技術により、顔認証用に撮影した画像を加工して識別できないようにするものです。
個人情報と紐付けされる顔画像データが、暗号化されないまま、サーバーに存在し、それが不正アクセスにより流出するような事態が今後も起きることは十分に考えられます。このサービスは、万が一、顔画像データ流出したとしても、その画像データを目視しても実際の顔が分からないようにするという想定で開発されたのではないかと思います。
具体的な活用方法が気になるところです。

顔情報は個人情報か?〜ジャパンタクシーのケース
顔認証をめぐる個人情報保護の動き

次のような顔識別をめぐる個人情報保護の動きもありました。
全国で18,000台(うち都内が約9,000台)のタクシー用に配車アプリを提供しているジャパンタクシーが、タクシー後部座席前に設置したキャッシュレス決済などに使うタブレット端末で、無断で乗車客を撮影して男女識別を行い、それぞれの性別に応じた広告をタブレット画面で流していた事件がありました。
すでに個人情報保護委員会から2018年11月に無断撮影に対する行政指導を受けて、乗客にタブレット内のカメラで撮影することと、その利用目的、データの管理について明示するように、という指導が行われました。
これに対してジャパンタクシーは2019年4月にタブレット画面にこれらの情報を明示する対応を行ないましたが、半年弱も対応が遅れたことを問題視した個人情報保護委員会から二度目の指導が行われたとのこと。

ジャパンタクシー側の当初の言い分は「カメラで撮影した画像は、個人の特定ではなく、男女の性別判定をするだけに使われるので、個人情報に該当しない。さらに、性別判定後に削除しているので問題ない。」という認識を示しているということです。

確かに顔認証とは異なり、顔画像をサーバーに登録しているわけではないのですが、無断で撮影され、何かに使われていることを不快に思うのは当然の気がします。

中国で進むスマホ不要の顔認証システム
スマホによるキャッシュレス決済が進んでいる中国で、スマホも使わずに決済ができる「顔認証決済」の導入が始まったとのことです。切符を買ったり、スマホやカードを改札機にタッチしたりせずに、顔認証だけで改札を通過できる地下鉄が増えてきたほか、コンビニの会計時にも、店頭のタブレット端末に自分の顔を映すことでキャッシュレス兼スマホレスの決済ができるシステムが開発され、すでに導入したコンビニも1,000店舗を超えているとのこと。完全に手ぶらでスマホもいらずにコンビニで買い物できたり、電車に乗れるというのは技術の発達を感じます。
ただし、顔情報データと個人情報を紐づけて管理しているところには、自分の行動が筒抜けになるというプライバシーの課題がつきまといます。


さて、いかがですか。
顔識別技術をめぐる動きは、推進の動きもある一方、プライバシーの観点から規制がされていくケースも今後出てくると思います。
顔は人間の表面に出ている個人を識別するための情報です。しかも、簡単には変更ができません。この顔情報を利用した技術が、プライバシーが担保されながら、健全に発展していくことを願いましょう。