コインロッカーといえば駅に設置されていることが多く、「Suica」などの交通系ICカードや、印刷されるレシートに書かれた暗証番号やQRコードを鍵として利用するものが登場しています。
その一方、学校や病院、スポーツクラブなどの特定の施設内に設置するロッカーでは、その施設の利用者が無料で使えるようなロッカーに、指紋認証対応のロッカーを導入するところが登場しています。

この指紋認証ロッカー、利用するたびに指紋を登録するワンタイム型の指紋認証システムになっていて、荷物を入れる時に指紋登録をして施錠。解錠するときは指紋で認証を行い、解錠した時点で登録された指紋情報は廃棄され、蓄積されないようになっています。
つまり、使用開始した人と終了した人が同一人物であるかどうか、を判断するだけで、指紋情報以外の個人情報は使用しません。利用者を限定しない、一時利用ロッカーにのみ採用されているようです。

この指紋認証ロッカーの最大のメリットは、鍵を持ち運ばなくてよく、鍵の紛失リスクがないということにあります。
また、暗証番号のように入力時に見られてしまい、不正解錠されてしまうリスクもありません。

ただし、通常のアナログな鍵のロッカーでは必要のない、電源からの電気供給と、電子機器のメンテナンスが必要というコストが発生します。しかし、鍵でも紛失や破損に対応する管理コストが発生します。
生体認証である以上、本人認証率が100%ではありません。しかし、メーカーによると本人拒否率は1%以下、他人受入率は0.1%以下ということで、現実的にはほぼ問題はないでしょう。ただし、認証した部位が欠損したり、変化してしまい、本人拒否が起こった場合には、代替の認証方式を用意していません。そのような場合は、鍵を失くした場合と同様に、とりあえず管理者が解錠して、中のモノの内容で所有者かどうかを判断することになるでしょう。
指紋認証の本人拒否率を下げるには、複数の指の指紋を登録しておけばいいのですが、そうするとロッカー利用開始時の利用者の手続きが煩雑になってしまうし・・・。

少なくともアナログな鍵の場合には、利用者本人が鍵を紛失したり破損するのは、利用者本人のミスです。しかし、指紋認証で本人拒否が発生した場合、1%以下とは言え、「自分のミスでもないのに」自分が借りたロッカーを解錠できなくなる恐れはあるわけで、その時、すぐそばに管理者がいて、すぐに解錠対応してくれなければ、利用者は荷物を取れるようになるまで待たないといけない、ということも起こり得ます。この場合の利用者の心証はかなり悪いものになるでしょう。
これが受け入れられるかどうかが、指紋認証ロッカーが普及するかどうか、のひとつの「カギ」になるのではないでしょうか。
またその地域で停電が発生した場合、予備電源による通電がないと、誰もロッカーを開け閉めできなくなってしまうという点も気になります。

大学や病院、コールセンターなどにおける手荷物一時保管用ロッカーのように、大勢の利用対象者のうちの少数の人が一時的に利用する、というケースには適しているので、そのような用途での採用が増えているようですが、通常のロッカーよりもイニシャルコストが高いこともあって、一長一短というところでしょう。

アナログ鍵ロッカーと違い、施錠や解錠の時刻が記録できたり、施錠からの利用時間を管理できる点など、アナログにはない機能もあります。
また通電されていることを生かして、ロッカー扉前面を液晶パネルにすることで、複数のロッカー全体を大きな画面とした広告(静止画や動画)スペースとして活用することもできるなど、従来のアナログ鍵ロッカーとの差別化サービスの可能性もあります。

デジタルであることのメリットとデメリット、指紋認証のメリットとデメリット、それらを総合的に判断していく必要がありそうです。
果たして今後の普及はいかに。

P.S.
番号の付いた物理的な鍵がないことで、どこのロッカーに入れたかわからなくなることがありそうですが、そういう場合の対策って何かあるんでしょうか・・・