新型コロナウイルスとテレワークがらみの記事が続いたので、今回は趣向を変えてユニークな生体認証ネタ「肛門認証」についてお送りします。
この「肛門認証」ですが、生体認証の主流である顔認証や指紋認証のような、一般的な認証シーンで使われるものではありません。

2020年4月6日に米国スタンフォード大学医学大学院の研究チームが、トイレの便座で排泄した尿や便の検査を行い、健康状態をチェックするシステムを発表しました。そのトイレの水洗レバーに設置した指紋認証センサーと、便座内に設置されたカメラで撮影した肛門のシワの模様を使って、利用者を特定するようになっています。

画像はスタンフォード大発表の資料より転載

発表によると、水洗レバーの指紋認証だけだと、本人が流し忘れたりした場合に別人が流してしまい、その別人を本人だと認識してしまう誤りを防ぐために、誰もがトイレ利用時に晒す生体情報である「肛門のシワ」も利用し、あらかじめ登録されたユーザーの肛門画像と比較して本人を特定するという仕組みです。

同大研究チームによると、撮影した肛門データはユーザーの識別のみに使われ、誰かがこのデータを閲覧することはできない、としていますが、画像データが存在する以上は、絶対に方法がないとは言い切れないような気がします。少なくともデータを管理している側の人は閲覧できてしまうのではないでしょうか。

肛門のシワが生体認証用のデータとしてどれだけの個別性があるのか、本人否認率や他人受入率がどれくらいなのか、については定かではありませんが、おそらく不特定多数を対象とした識別ではなく、このシステムを使って検査を行う限られたユーザーが対象なので成り立っていると推測します。
ですので、指紋認証とセットで使用することが前提の補助認証としての用途になっています。肛門認証単体で本人認証が行えるかどうかは疑問が残るところです。

血液と並んで尿や便は、その人の健康状態を把握するためのバロメーターとして重要な情報を持っています。
この尿と便の状態の検査が、用を足すだけで自動的に行われるようになれば、検査にかかる手間や時間が大幅に削減され、検査頻度も向上し、医療的には大きな可能性を持つと言えるでしょう。
しかし、いかに認証のためだけとはいえ、肛門を撮影されるっていうのは、どうにも抵抗を感じてしまう・・・のは私だけでしょうか・・・?(^_^;)

「使えるものは何でも使え」ではないですが、様々な生体情報を使った認証技術の研究開発が行われていることは知っていますが、まさか肛門のシワまでも使うとは驚きです。
いつか、医療の現場に普及し、肛門を撮影されることが当たり前になる日がくるのでしょうか・・・。