独立行政法人情報処理推進機構 (IPA) とNTT 東日本は、誰でも簡単に利用できるリモートデスクトップ型のテレワークシステム「シン・テレワークシステム」 を緊急構築し、2020年4月21 日から、実証実験として無償で提供を開始しました。

「シン・テレワークシステム」 とは

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、可能な限り自宅でのテレワークを実施するように政府や自治体から緊急事態宣言が発令されました。
これまで3年間実施されてきた「テレワーク・デイズ」キャンペーン等により、すでにテレワークの取り組みを開始している事業者ならともかく、まだテレワークの準備ができていない事業者も今回の事態では緊急で対応を迫られる状況です。
そこで、テレワークのために新しいシステムや機器の調達を必要とせず、一定の環境さえ合致すれば、誰でもすぐに無料で利用開始できるリモートデスクトップシステム「シン・テレワークシステム」が、IPAとNTT東日本とのタッグにより提供開始となりました。

Windows端末動詞でのリモートデスクトップに対応
この「シン・テレワークシステム」は、オフィスで使っているPCと、自宅でテレワーク用に使うPCをつないで、自宅から会社のPCを遠隔操作する「リモートデスクトップ」型のシステムです。オフィスのPCと自宅のPCがWindows XP、Vista、7、8、8.1、10のいずれかのOSであればインストールして使用することができます。
ネットワークやセキュリティに詳しい方がいなかったり、予算の関係でシステム導入ができない状況の事業者は、この「シン・テレワークシステム」を試してみてはいかがでしょうか。自宅にいながら社内ネットワーク上にあるオフィスのPCに接続して作業を行うことができるようになります。

シン・テレワークシステム概要図(オフィシャルサイトより転載)クリックで拡大画像が開きます

もちろん実際にオフィスにいて自分のPCを操作しているのではなく、自宅からインターネットを経由しての遠隔操作を行うので、レスポンスが悪かったり、インターネットの状況によっては途切れてしまったりすることはありますが、それでもあたかもオフィスにいるようにオフィスのPCを操作できるので、自宅PCに、オフィスPCと同様の環境を構築したり、ファイルの引っ越しをしたりする必要もなくなり、テレワークへのスムーズな移行ができます。

セキュリティ面は大丈夫?
「シン・テレワークシステム」を使ったリモートデスクトップは、自宅PCとオフィスPCとの接続にVPN(バーチャル・プライベート・ネットワーク)という暗号化された情報のやり取りをする方法を使う機能があらかじめ組み込まれているので、従来のリモートデスクトップシステムのように、セキュリティ確保のためのVPN接続を別途で用意したり、ルーターの設定を変更したりする必要がありません。一般的な任意なインターネット回線で大丈夫です。
ただし、パスワードには、必ず使い回しではない、十分に複雑な独自のパスワードを設定しましょう。

「シン・テレワークシステム」を使うには
「シン・テレワークシステム」はユーザー登録すら不要で、PCやネットワークが対応環境であれば、すぐにでも誰でも利用することができます。
まず以下の「シン・テレワークシステム」オフィシャルサイトにアクセスします。

>NTT 東日本 – IPA 「シン・テレワークシステム」オフィシャルサイト

ここで 「動作環境・操作方法」のページでご自分やオフィスのPC環境が対応しているか確認してください。両PCがWindows OSに限定されているので、残念ながらMacやスマートフォンでは利用できません。
また当然ですが、オフィスのPCを家に持ち帰っている場合は、接続先のPCがオフィスにないので利用できません。自宅用にもう一台、PCを用意しましょう。

環境的に問題がなければ「ダウンロード」ページに進み、必要なソフトウェアをダウンロードします。
ダウンロードするソフトには、オフィスPCにインストールするサーバー用ソフトと自宅PCにインストールするクライアント用ソフトの両方が入ったフルパッケージ(27MB)が必要です。これをダウンロードしてオフィス、自宅それぞれのPCにインストールすればすぐに接続できるようになります。
ただし、オフィスPCにソフトをインストールするために、一度はオフィスに行くか、オフィスにいる他のスタッフにインストールを依頼する必要があります。(他のリモートデスクトップシステムを利用していなければ)

しかし、その手間をかけても、安全なリモートデスクチップ接続が無料で実現できるので、リモートデスクトップ接続できればテレワークが実現できる、という方はもちろん、現在のリモートデスクトップの方法やVPN接続に不安のある方は、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。
もちろん、会社やシステム管理者には「シン・テレワークシステム」の利用について許可を取るのは忘れてはいけません。

P.S.
この「シン・テレワークシステム」、現時点では2020年10月31日まで実証実験を継続=無料で利用可能となっていますが、新型コロナウイルスの状況によっては、実験期間を変更する場合がありますので、下記オフィシャルサイトで状況を確認するようにしてください。

>NTT 東日本 – IPA 「シン・テレワークシステム」オフィシャルサイト