「世界初!」スマホなどの端末に内蔵されているカメラで静脈認証を実現する、世界初の技術を日本のスタートアップ企業が開発した、というニュースが入ってきました。
2020年6月に米国のベンチャーキャピタルから総額2.7億円の資金調達を行ったと発表したのは、株式会社ノルミー(本社:東京都中央区。代表:岩田 英三郎)。世界中からその技術が注目を集めています。
生体認証には様々な認証方式がありますが、現在主流の指紋認証や顔認証は、生体情報が表に露出していることから、偽造のリスクが高いという難点があります。
それに対して静脈認証は、表には生体情報が露出していないため、偽造のリスクも少なく、安全性が高い点で、ほとんどの金融機関のATMに実装されるなど、信頼性や安全性の高い「生体認証のエリート」的な存在、ということで、以前パスクリ通信でも取り上げました。
>「生体認証のエリート!?『静脈認証』」パスクリ通信2018年3月2日号
この記事を書いたときには、静脈認証にとっての最大の課題は、静脈情報を読み取るスキャナー装置の整備と普及にあり、「スマホに内蔵されるほどに小型化できてない」としましたが、ノルミー社では専用の静脈スキャナーを小型化するのではなく、一般的なスマホの内蔵カメラで静脈情報を読み取れるようにするという技術を開発したとのことです。
これであれば、市販のスマホをはじめとして、様々なカメラで静脈認証ができるようになり、静脈認証が普及していく可能性があります。
新型コロナウイルスの感染拡大により「非接触型」の生体認証へのニーズが高まりも追い風になると言えるでしょう。
具体的な認証方法は、手のひらをスマホなどの端末のカメラで撮影し、掌紋形状と静脈パターンの両方を同時にスキャンして、この2つの生体情報を使ったハイブリッド認証を行うということです。

静脈認証のタブレットを用いた動作サンプル(ノルミー社サイトの動画より)
また、スマホなどの端末の所有者を認証する「1対1」の認証だけではなく、クラウドを使い、多数の登録者の中から誰と一致するかを識別し、認証する「1対多数」の認証にも対応できるとのこと。さらにソフトウェアのプラットフォームは、AndroidでもiOSでもWindowsでもOKという高い汎用性も備えており、今後様々な認証への活用が期待できます。