スマホによるキャッシュレス決済で活用されることが増えたQRコード。
その安全性について、以前記事を書きました。

>QRコードの安全性(パスクリ通信2019年12月13日号)

この記事では、QRコードの安全性の問題は「QRコードの内容をユーザーが理解できないこと」であり、偽造したQRコードが本物のQRコードの上に貼られていても、ユーザーには気づくことができずに、意図とは異なるサイトに誘導されたり、決済されてしまう恐れがあるという警鐘を記事にしました。
もうひとつの問題は、QRコードは、コードリーダーがあれば誰でも情報を読み取れてしまう、という点です。これはQRコードの利点でもあるのですが、同時に、QRコードには、個人情報などの守られなければならない情報を入れておくことができない、というデメリットでもあります。
しかし、最近の航空券などに使われているような、QRコードを自分のスマホに表示する使い方であれば上記の問題を回避できますし、新たな可能性も考えられます。

今回は従来のQRコードの弱点を補い、新たな可能性を持つ「拡張型」QRコードと、これを活用する動きをご紹介します。

QRコードによる行政窓口サービスのデジタル化実験が開始
QRコードのメリットは、様々な情報を簡単にコードにして生成できることです。これを活用して行政サービスの窓口申請をデジタル化する動きを紹介します。
兵庫県宝塚市では、転入・転出・転居の住民異動と住民票の写しの発行業務などを、QRコードを使ってデジタル化し、窓口の混雑緩和や、申請書記載台の利用削減(接触における新型コロナウイルスの感染リスクの低減)を狙う実証実験が開始されました。
この実験では、QRコードの進化型である「SQRC」というコードが使われています。
庁舎窓口でこれらの手続きを行う人は、事前にスマホ(やタブレット)で専用のWebサイトにアクセスし、フォームに届出内容を入力してSQRCを作成し、スマホに保存します。そして、来庁時にこのSQRCを窓口で職員に提示すると、職員は専用のリーダーでこのSQRCを読み込み、帳票を発行します。
来庁者はその帳票を確認し間違いがなければ手続きは完了。アナログでの処理と違いスピーディーかつ被接触での受付が完了できる仕組みです。

SQRCとは・・・
従来のQRコードは、どのリーダーでもコードからは同じ情報が読み取れるので、個人情報をQRコード化した場合には「誰でも読み取れてしまう」という個人情報保護の点では問題がありました。
そこで、QRコードに、公開情報と非公開情報の2種類の情報領域を設け、一般的なリーダーで読み取ると公開データだけが読み取れ、暗号コードを持った専用のリーダーで読み取取ると非公開情報も読み取れるようにした拡張型のQRコードが「SQRC」です。

SQRCは2種類の情報領域を使い分けれる(画像はデンソーウェーブ社サイトより転載)

SQRCは株式会社デンソーウェーブが開発し、これをNECがシステムに組み込み、宝塚市での実験を進めています。
宝塚市での実験では、窓口申請希望者があらかじめ専用のWebサイトで申請内容を登録するとSQRCが発行されます。
しかしこのSQRCは、庁舎の窓口担当者の持つ専用のリーダーでなければ、申請内容にある個人情報を読み取ることができなくなっているので、情報漏洩のリスクを防ぐことができるのです。

SQRCの可能性
SQRCを開発したデンソーウェーブでは、非公開情報を保持できることによるQRコードの新たな可能性を提唱するとともに、顔認証で利用する顔情報をSQRCコード化するサービスも提供しています。このサービスを利用すると、スマホに表示した顔情報を含んだSQRCと、そのスマホを所持している人の顔の画像データを照合させることで本人確認が可能になります。
認証にもセキュアなQRコードによって新たな方法が生まれてくるかもしれません。